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■環境危機をあおってはいけない
ビョルン・ロンボルグ (著), 山形 浩生 (翻訳)

久しぶりにこんなに長い講釈本を読んだ。おかげで時間の使い方にも影響が出た始末。何せ、仕事時間中にはやらなければいけない仕事があるし、あまり細切れに読むと全体像をつかめないし。もちろん、熟読する時間はありませんでした。それでも、全体を通して伝えたいことは分かった。

データには様々な見方がある。それを最初に感じた。統計を専門に扱っている筆者ならではのデータ解釈方法であろう。タイトルほどには「攻撃的」な本ではなく、かと言ってすべて鵜呑みに出来る内容でもなかった。

最初に目に付いたのはこのような文面だ。

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「十分に豊かになってはじめて、環境のことなんかを気にするだけの余裕ができるわけだ」
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上記はある意味では正しい。そこに逃げ込まなければの話だけれど。生きるために必死になっている時に、自分の足元を気に出来る自信はない。だからすべて許されるわけじゃないけど、多分いっぱいいっぱいになってしまうだろうなと思う。「環境改善は経済発展から生じることが多い」とのデータ的指摘も紹介されている。これは、インフラ整備や技術革新による公害対策に関するもの。これも、根本的な解決が経済にあるわけじゃない事さえ忘れなければ納得できる部分はある。

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「アメリカやヨーロッパが自分でやってきた森林破壊に比べて、現在のアマゾン、インドネシア、中国の森林破壊の規模は極めて小さい」。
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まあ、間違いないところなのだろう。だから、何が出来るのかを考えなければいけないと思うけど。各国がエゴイスティックに自国の権利を主張したら、環境なんて守れない。森林が「あまり」破壊されていないという主張は分かるが、それが破壊を肯定することには繋がらない。仮に経済的には意味があるものであったとしても。

筆者によると科学の進歩によって公害の負担は減りつつあるそうだ。これも数値的に「比較的きれい」であることが、汚染をそのまま放置して良いことにはならない。科学の成果(物品品質の向上)が地球をクリーンにするとだけ考えていると、人間のエゴから抜け出せなくなる(まあ、エゴイスティックな生活をしないということは大変な努力と忍耐が必要になると思うけど)。ただ、どれだけ汚染されているのかは知りたかったので、その数値と解釈を読めただけでも意味はあった。

筆者の指摘は農薬に及ぶ。農薬は危険か。いや、それ以上に危険なことはいくらでもあるのだとの主張。確かに数字的に見るとそうなる。それは、知っておいたほうが良いものでもあるだろう。けど、統計がすべてじゃない。見方は、やはり個人的な解釈になっていく。

面白かったのは、統計屋にとってのノイズに関する記述。シグナルとノイズ。つまりは、「認識しなればいけない数値」と「独立派生的に現れてくる認識すると惑わされる数値」の違い。多分、これは専門家でないと分からない違いなのだと思う。この点に関しては、本書を読んだことは悪くなかったと感じている。何故なら、「数値をこのように解釈している」という説明がなされている本であるから。合っていると思うか、間違っていると思うかは読者の判断による。

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パラケルスス「あらゆる物質は毒物だ。毒でない物質などない。毒と治療法を分けるのは正しい処方量である」
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これは引用文だから、本書と直接の関係はない。けど、面白い見方だ。専門家らしい。私は薬が嫌いでほとんど飲まない。病院にいくこともまずない。いや、別に毒を盛られると思っているわけじゃない。必要と思える成分を摂取するのは、食事でも足るように思っているから。それで摂取できなければ、それはそれまで。

ちょっと話が脱線した。

筆者の思想は、「CO2削減なんてコストの高いことをやるより、実際に必要なところにお金をかけたほうが良い」というものだ。では、必要なところとはどこかというと

1.再利用可能エネルギーの開発
2.発展途上国のインフラ整備

だろう。太陽光、風力、水素核融合発電などの再生可能エネルギーは有用。早く移行できるように開発支援をすべしと筆者は説く。確かに太陽光エネルギーは魅力的だ。問題は山積していると思うけど、出来るなら開発を急いで欲しい。正直に言うと、すべてのエネルギーを太陽光発電で賄うのは無理だと思っている。それでも、エネルギーを身近に感じられるように各屋根についていても良いのかなと思う。もう少しゴミを出さなくて良い仕様になればなお良し。

筆者は寿命にこだわりを見せる。コスト的には自然を守るより、発展途上国のインフラを整備すべきだと説く。ただ、これは私にはよく分からない。お金を入れたらインフラは整備されて幸せになるのかな。結局は投資なので、儲けた資本は海外に逃げる。発展途上国がどうしていくのはは、彼らが決めて、彼らが実践しなればいけないのではないか。

■総論

かなり大掛かりな(私にとっては)本ではあったが、読んでよかったとは思う。相容れないところも多かったけど、数値はこのようになっているという解釈を一応頭に入れておこう。自分がやっている「エコロジー活動」がどんな意味を持つのかは、取り組むべき課題だ。簡単に結論が出るとは思えない。それでも、少しでも前に進んでいると思いたいものだ。